おしゃれコンプレックスと、スターバックス

ラーメン二郎にいくのが怖い、って人いるじゃないですか。「よくわかんない注文の仕方が怖い」「雰囲気が怖い」「なんか敷居が高い感じがする」みたいな。でも俺に言わせれば、ぜんぜんスタバの方が怖い。31歳になってもスタバでうまく注文できる自信ない。

 

よみがえる記憶。18歳のころ、大学進学にあわせてド田舎から上京してきた僕らは、日々をギターと共に過ごしてた。ギターさえ弾いてりゃいいと思ってた。

だが勇気ある友人がこういった。「せっかく俺ら東京にいるんだから、たまに東京っぽいことをしなきゃダメじゃないか」。なるほど、して、なにをやろうか?と問うと彼はこう言った「青山のスタバに、行こう」。

 

カーゴパンツに真っ黒のTシャツを着るような俺らが踏み込んではいけない聖地、青山のスタバ。僕らはそこに挑戦すべく、情報収集を開始した。

「小さいサイズはSだけど、SmallのSじゃなくてShortのSらしいぞ!」

「Lサイズってのはないんだ、Tall sizeっていうらしいぞ」「と、とーる!?」

「隊長、グランデってのは何でありますか!?」

 

ひととおり学んだ上でいざ出陣、青山のスタバでコーヒーをすする3人。正直、あの時のコーヒーの味なんか覚えちゃいない。鮮明に覚えているのは注文時にすごく緊張したことと、友人が去り際に言ったセリフ「俺たちは、日本で一番おしゃれなところにたどり着いた!」。言葉は、青山の風に乗って消えていった。

 

その後僕らがスタバに行くことはなかった。みんなきっと気づいてた。「ここは俺らの居場所じゃない」。こうやって僕らはオトナになっていったし、10年以上経ってもまだ苦手意識は消えぬまま。人はこれを、「トラウマ」と呼ぶんじゃなかろうか。

 

P.S.

そんなストーリーとは全く関係なく、僕のバンドが「AOYAMA」という曲をリリースします。まずは試聴してみてね。