千里の道もシャンプーから

元美容師さんと飲んだ。今でこそ会社員として働いている方だけど、美容師時代の友達が次々と独立していくからビビるって話をしてたよ。30歳くらいって、そういう年齢なのでよくわかる。

独立する前はやっぱ雇われ美容師みたいになるんだけど、ちゃんとそのあいだにお客さんを囲っておくことって重要なんだってさ。俺が独立したら、あなたは俺の店に来てくれますよか?俺の客で居続けてくれますか?それを乗り越えるお客さんとの関係を築いておくべきだ、と。どの世界でも人脈は大切ですね。

 

して、どうやってそういう太客を作るんですか?って聞いたら「一番は恋です」って。とにかく「また会いたいな」て思ってもらったら勝ちだと。いきなり漂うゲスの香り。

そこには複合的な要素があって、そりゃカットの腕前は大前提だし、どんな人にでも話題を合わせられるように勉強しなきゃだし、相手の好みとかクセとかをちゃんとメモっておくことも大事だと。その上で、恋を「させる」ことが重要だと。

 

え、それどうやるんすか!?ってメソッド聞いたのだけど、その上級編として「さりげなく女の子のオッパイとかをさわる」っていうのを紹介してもらった。なーにーそーれー!

「そうすることで、自分を意識させるんです。でも、絶対に顔に出したらいけないですし、あくまでも真剣にカットとかしている時に、気づかずにちょっとタッチしてた、みたいなギリギリのところを狙うんです」って。

 

なんか俺、そんなことできる気がしないよ。真剣にカットしてて、うっかり触っちゃったら「あああ、ごごごめんなさい、そんなつもりじゃなかったんだけど、えへへ!」とか言っちゃうわ。口コミで「クソゲス美容室」とか叩かれるだろうし、店がつぶれるの時間の問題だわ。

でも「どうやってオッパイを触るか」って、よく考えたら男が追い続けるべき永遠のテーマじゃないか。だとしたら俺は、ここから逃げてはいけないのかもしれない。とりあえず、シャンプーの練習からはじめたい。(道のり長)